4.62才で生きているのは丈夫な人!?

「(二弦琴の)御師匠さんはあれで六十二よ。ずいぶん丈夫だわね。」

六十二で生きているくらいだから丈夫といわねばなるまい。

 

 WEB(https://www.mizuho-ir.co.jp/publication/report/2019/images/mhir18_life01.gif) が教えてくれる明治大正昭和(戦前)の日本人の平均寿命(0歳児の余命)は、ずっと横這い、43歳程度で推移しているという。上昇に転じるのは戦後のことであり、そのことは、我が国に限らず世界的なもののようである。もちろん、寿命の短さには高い乳幼児死亡率が反映されているのであり、多少、当時の人たちの自己認識より過小になっているのだろうと思われる。

これを書いた著者は、自分が49歳でこの世を去ることになるとは知る由もなく、また、実際に当時の平均寿命に近づきつつあったことをどのように感じていたのだろうか。このように記していることは、やはり、六十二才のお師匠さんを「ずいぶん丈夫」な人言っているのは、当時の素直な年齢感覚なのだろう。

 であるとすると、69歳で生きていて、無意味な文章を人目に曝しながら時間を過ごしている我が身の情けなさが身に浸みる。